暗記アプリを変えるとき、作った問題まで一から入力し直すのは大変です。質問と回答を取り出せる場合は、移行先に合わせたCSVに整理すると、テキストを再利用できます。ただし、復習の履歴や画像まで同じ状態で移るわけではありません。
この記事では、Anki・Quizlet・暗記メーカーの公式案内をもとに、Memlyへ持ってくるための列の整え方を説明します。Memlyの運営チームによる記事です。公式資料は2026年11月3日に再確認しました。Ankiの自作3ノートを書き出し、CSVに整えてMemlyへ取り込むところまで実際に確かめました。価格の比較や、全機能が移せるという評価は行っていません。
CSVで引き継ぐのは、まず質問と回答のテキスト
CSVは、表の値を文字として保存する形式です。「質問」「回答」を別々の列にすると、どちらがカードの表で、どちらが裏なのかを移行先に伝えられます。アプリの画面や復習の設定を丸ごと保存する形式ではありません。
| 残したいもの | MemlyへのCSV移行での扱い |
|---|---|
| 質問と回答 | 必要なテキストをfront・backの列に整理します |
| 補足の説明 | 必要なら回答の文章に含めます |
| 復習の履歴・次の予定日 | 元のアプリから引き継げません |
| 画像・音声・装飾 | 元の表示のままは引き継げません |
| 穴埋めや選択問題の設定 | 元の問題形式のままは引き継げません |

Ankiの学習履歴や複雑なカードテンプレートを使い続けたい方は、そのデッキをAnkiに残す選択もできます。全部を移す前に、文章だけで成立する小さなデッキを選ぶと、目的に合うか判断しやすくなります。
Anki・Quizlet・暗記メーカーから取り出す前に確認する
元の問題集を保存したうえで、作業用のコピーを作ります。他の人が作ったセットは、閲覧できても書き出せるとは限りません。書き出し機能の対象と、教材を利用できる範囲を確認してください。
Ankiは、タブ区切りのテキストから必要な列を選ぶ
Ankiの公式マニュアルでは、FileメニューのExportから「Notes in Plain Text」を選ぶと、各フィールドがタブで区切られたテキストを書き出せます。表計算ソフトで開く際はタブ区切りとして読み込み、質問と回答に使う列を確認します。
Ankiのノートは、設定によって複数のカードを作る元になります。そのため、書き出したノートの行数と、Ankiで表示されるカード枚数が一致するとは限りません。基本的な表面・裏面のノートから試し、追加フィールドや逆向きカードは必要に応じて整理します。
テキストにHTMLやメディアの参照が残っている場合は、文章として読める形に直します。Ankiのデッキパッケージである.apkgは、Memlyへ直接インポートできません。また、タブ区切りの.txtを.csvに名前変更しても、区切り方は変わりません。読み込んだ表をCSVとして保存し直してください。
自作3ノートをAnkiから書き出した例
2026年11月3日、PC版Ankiの「CSV migration demo 2026-10」というデッキから、自作の3ノートを書き出しました。形式は「Notes in Plain Text」です。今回は短い質問と回答だけを扱うため、HTMLとメディア参照、タグ、デッキ名、ノートタイプ名、識別子を含める設定を外しています。

得られたファイルの先頭には、タブ区切りとHTMLなしを示す設定行があり、その下に質問と回答の3組がありました。 設定行をデータ行として取り込まず、各ノートの表面をfront、裏面をbackへ対応させて、UTF-8のCSVへ保存しました。 回答に含まれるカンマと半角の引用符も、元の文字として残っています。
実際にAnkiから書き出したテキストと、列を整理したMemly用CSVを確認できます。編集部の自作教材で、他の利用者のデータは含みません。
Quizletは、自作セットの用語と定義を取り出す
Quizletの公式ヘルプでは、Webサイトで自分が作成したセットの用語と定義を書き出せます。セットのメニューからExportを選び、区切り方を指定してCopy textでコピーし、表の二つの列へ整理します。
他のユーザーからコピーしたセットは書き出せず、画像の書き出しにも対応していません。この記事で扱うのは、自作セットのテキストです。ボタンが見つからない場合は、Web版を開いているかと、そのセットの作成者を先に確認します。
暗記メーカーは、問題文と答えの列を確認する
暗記メーカーの公式CSVガイドでは、問題文はquestion、答えはanswersという列で扱います。既存の問題集を書き出したCSVにはquestionIdも含まれます。Memly用の表には必要な質問と回答を取り出し、元サービス内の更新用IDは持ち込みません。
answersに複数の答えや別解が入っている場合は、区切り記号をそのまま残さず、意味を確かめて読みやすい文章にします。解説が必要なら回答へ加えます。選択肢や問題形式の設定を移せるという意味ではないため、選択式の仕組みを保ちたい問題集は元のアプリにも残してください。
CSVの列をfront・backにそろえる
移行元で使う名前が違っても、質問にしたい内容をfront、答えにしたい内容をbackに置く方針は共通です。複数の項目がある場合は、どこまでを一枚にするか先に決めます。単に列名を変えるだけで、特殊な問題形式まで変換されるわけではありません。
| 元の内容 | frontへ | backへ |
|---|---|---|
| Ankiの基本的なノート | 表面のテキスト | 裏面のテキスト |
| Quizletの自作セット | 用語 | 定義 |
| 暗記メーカーのCSV | questionのテキスト | answersを整理した文章 |

例えば、用語だけでは何を答えるべきか曖昧な場合は、frontを問いの形に直せます。backには正答と、答えを確かめるのに必要な補足を置きます。複数の論点が混ざった長いカードは、この機会に分けると復習しやすくなります。
自作サンプルで、カンマと引用符を確認する
まずは日本語の質問と短い回答だけで構成したサンプルを使います。下の3枚は編集部の自作です。元の問題集を大量に取り込む前に、列と文字の見え方を確かめるための教材として用意しました。
front,back
元のデータを編集する前に残すものは?,元ファイルのコピーです。
カードの表と裏を入れる列名は?,"front,back"
CSVの1つの値に半角の引用符を含める例は?,"合言葉は""少しずつ""です。"2枚目の回答には半角カンマが含まれます。値を二重引用符で囲むことで、一つの回答として表します。3枚目では、回答の中の二重引用符を二つ重ねています。これらはRFC 4180で説明されるCSVの表記に沿った例です。手で記号を書き換えるより、表計算ソフトなどのCSV保存を使い、保存後に中身を確かめる方が取り違えを減らせます。
日本語を含むファイルはUTF-8で保存し、再度開いて文字化けがないか確認します。セルの途中に改行がある場合も、見た目の行数だけでカード枚数を数えないようにします。最初は改行のない短いカードで試し、複雑な回答は別に確認してください。
Ankiから書き出した3組をMemlyへ取り込み、内容を確認する
MemlyのWeb版で、移行確認用のデッキを用意して開きます。「インポート」を押すと「CSVインポート」が表示されます。撮影した画面には、frontとbackの列、および省略可能なNo.列の案内がありました。

- 元の学習デッキとは分けて、移行を確認するデッキを用意します。
- インポート画面の案内と、CSVの先頭行を照合します。
- 「ファイルを選択」から、少数のカードだけを入れたCSVを指定します。
- 取り込み後は、質問と回答が意図した組み合わせになっているか、一枚ずつ確認します。
2026年11月3日、先ほどAnkiから書き出して列を整えたCSVを、新しい空の確認用デッキへ取り込みました。「旧カード更新0枚」「新規カード追加3枚」と表示され、ページを開き直した後も三つの質問と回答を開き、原本と一致することを確認しました。同じファイルを繰り返し取り込む前に、追加されたカードと件数を確認してください。

回答の「front,back」は、カンマを含む一つの値として残りました。「合言葉は」の後に続く「少しずつ」を囲む半角の二重引用符も残っています。CSVファイル内で重ねた二重引用符は、カード上では一つの引用符として表示されました。元のデータを編集する前に残すものを問うカードも、回答の「元ファイルのコピーです。」と対になっていました。

この実演で移したのは、Ankiの基本的な表面・裏面に入れた短いテキスト3組です。Quizletと暗記メーカーについては公式の書き出し案内を確認しており、実際の移行結果を示したものではありません。セル内改行、HTML、画像や音声を含むデータも同じように移ると判断しないでください。
取り込み後は、枚数だけでなく中身を見る
追加できた枚数が想定どおりでも、表と裏が逆になったり、回答の後半が別の列へ分かれたりしていれば、そのまま復習には使えません。次の点を確認してから、残りのカードを移します。
- 質問と回答が逆になっていないかを見ます。
- 日本語、半角カンマ、引用符を含む回答を開いて確かめます。
- 画像への参照や穴埋め用の記号だけが残っていないかを確認します。
- 元の復習予定を引き継ぐ前提にせず、新しい環境での学習を始めます。
サンプルを試したデッキへ同じファイルを繰り返し送る前には、すでに取り込まれたカードを確認してください。重複の扱いを確かめずに再実行すると、同じ問題を二重に管理する原因になります。元のファイルと、取り込みに使ったファイルを分けて残しておくと、どの段階で崩れたかを見直せます。
CSVにする作業は、復習を再開するための準備です。移したカードを開き、答えを見る前に一問だけ答えてみてください。長すぎる答えや曖昧な問いに気づいたら、その一枚から直していきます。
カードの作り方から見直したい方は、AIによる暗記支援の使い方も参考にできます。アプリごとの選び方は暗記アプリの比較、暗記メーカーの利用条件は無料・有料の範囲を確認した記事で紹介しています。
Memlyで試す場合は、元のデータを保存してから、少数のカードを入れるデッキを用意してください。すべてを移すかどうかは、そのカードで復習できることを確認してから決められます。
