授業を録音しても、試験前に最初から聞き直すだけでは、どこを説明できないのかが分かりにくくなります。録音の中から一つのテーマを選び、答えを隠せる問いにすると、聞いた内容を自分で思い出す練習につなげられます。
この記事では、平均値と中央値を説明する約1分の自作音声をMemlyに取り込み、3枚のカードを作ります。文字起こしの誤認識と、生成後に補った説明も含めて紹介します。掲載画面は2026年10月14日に撮影したWeb版です。教材は編集部が作った架空の例を合成音声で読み上げたもので、実際の授業や学生の記録ではありません。
授業の録音は、要約から「答えられる問い」へ進める
要約は、話の流れや重要な点を見直すために使えます。一問一答は、要約を見ないで必要な内容を出せるか確かめるために使います。同じ内容でも、読む場面と答える場面を分けると、次に聞き直す箇所が具体的になります。
- 録音とAIへの取り込みが認められた音声を用意します。
- 文字起こしを読み、用語・数値・条件を原音や教材で確かめます。
- 一つのテーマごとに問いを作り、答えを確認して保存します。
- 答えを隠して説明し、言えなかった部分だけ教材に戻ります。

最初から授業全体を大量のカードにする必要はありません。「平均値と中央値の違い」のように、ひとまとまりの説明を選びます。ノートに残した疑問や、先生が繰り返した条件を手がかりにしてください。
取り込む前に、音声の範囲と利用条件を確認する
授業ごとに録音や教材の利用条件は異なります。担当教員や学校の案内を確認し、録音できる場合でも、その音声を外部のAIサービスへアップロードしてよいかを別に確かめてください。他の人の発言や個人情報が含まれる部分は、許可された範囲に整理します。
録音できない授業なら、自分の言葉でまとめたノートをテキスト入力する方法もあります。録音すること自体より、復習したい内容と、その答えを確認できる資料がそろっていることを優先します。
今回のデモでは、自作原稿から作ったMP3を使いました。撮影時のMemlyのオーディオ入力画面には、ファイルサイズ50MB、音声60分までと表示されています。MP3・M4A・WAVなどに対応しています。仕様は変わる場合があるため、取り込み時の画面も確認してください。
画面内には直接録音するボタンもありますが、この記事で確認したのは音声ファイルの取り込みです。また、録音を教材として取り込む操作と、保存したカードを読み上げる操作は別です。今回は「音声つきデッキにする」をオフにして作成しました。
自作の短い音声で、取り込みを試す
デモ教材では、架空の五つの値「10、11、12、13、54」を使います。合計100を5で割ると平均値は20です。小さい順に並べた中央の値は12なので、中央値は12です。さらに、54のように大きく離れた値が平均値に影響することと、中央値が常に最適とは限らないことを説明しています。
デモ音声を開く(MP3)と読み上げ原稿と答えの確認用メモを用意しました。自分で試す場合は、先に音声を聞いてから原稿と照合できます。
Memlyの「生成」で「オーディオ」を選び、音声ファイルを指定します。処理が終わると、音声プレーヤーと文字起こしが表示されました。音声の認識が終わった時点で、画面にはAI使用量へ反映済みと表示されています。

今回は数字と計算は一致していましたが、「架空」という語が「下空」と認識されました。文字起こしが読める文章になっていても、正しいとは限りません。専門用語、否定表現、単位、例外の条件は、特に原音や配布資料と照合します。
撮影時の音声入力画面では、表示された文字起こし欄を直接編集できませんでした。そのため、次の生成設定の「AIへ指示」で正しい語を伝え、生成されたカードも確認しました。誤りが多い場合は、そのまま問題にせず、原音を確認して修正したテキストから作る方法を選びます。
要約の三つの要点を、一つずつ質問にする
「平均値は20、中央値は12、54の影響で差が出る」という要約を一枚に詰め込むと、どの点を答えられなかったのかが曖昧になります。そこで今回は、計算する問い、中央の値を求める問い、違いを説明する問いに分けました。3枚はデモで指定した枚数で、どの授業にも最適な枚数という意味ではありません。
| 確かめる内容 | カードの問い | 答えで見る点 |
|---|---|---|
| 平均値 | 10、11、12、13、54の平均値はいくつですか | 合計100を5で割り、20と求めます |
| 中央値 | 同じ五つの値の中央値はいくつですか | 小さい順に並べ、中央の12を選びます |
| 違いの理由 | 平均値20と中央値12が違うのはなぜですか | 平均値はすべての値を使うため、54の影響を受けます |

生成設定では、問題数を自分で3問と指定し、複雑さは中程度、言語は日本語にしました。「AIへ指示」には、誤認識の訂正と、作りたい問いを具体的に書いています。自分の授業で使う場合も、「重要な問題を作って」だけでなく、どの定義・理由・条件を確認したいかを伝えると、生成結果を点検しやすくなります。
冒頭の「下空」は音声認識の誤りで、正しくは「架空」です。10、11、12、13、54という5個の値だけを使い、平均値を求める問い、中央値を求める問い、二つの値が違う理由を説明する問いを一つずつ作ってください。答えには計算や理由も含めてください。
生成後は、正答だけでなく抜けた条件も補う
今回の生成結果には、平均値20、中央値12、54が平均値に影響する理由が含まれていました。「架空」の表記も正しくなっています。ただし、理由のカードには、原稿にあった「中央値がいつも正しい代表値という意味ではない」という注意点が含まれていませんでした。
そこで保存後にカードを開き、裏面の説明を補いました。元の回答を誤答として扱うのではなく、授業で残したい条件まで含める修正です。変更後に別のカードへ移動して戻り、補足が保存されていることも確認しました。

- 数値や固有名詞が、教材と同じになっているか確認します。
- 「ただし」「〜の場合」「〜ではない」などの条件を確認します。
- 一枚の質問だけで、どの範囲について答えるのか分かるようにします。
授業の例と一般的な定義も分けます。今回の「中央値は12」は、この五つの値に対する答えです。別の数値の問題でも12と答えないように、質問側にもデータを残しました。
一問一答では、答えを見る前に説明する
内容を確認したら、同じデッキの「学習スタート」から一問一答を選びます。質問を見て、答えを声に出すか手元のメモに書いてから、「答えを見る」を押します。録音を流しながら答えを探す時間と、何も見ずに思い出す時間を分けてください。

平均値の計算はできても、中央値との違いを説明できなかったなら、元の音声の該当箇所へ戻ります。説明を確認した後は音声と原稿を閉じ、もう一度自分で答えます。復習で詰まった箇所を手がかりにすると、次に聞く範囲を選べます。
理由の説明が長くなりすぎるときは、定義や前提を別のカードに分けます。カード作成と修正の考え方は間違えた問題を暗記カードにする方法でも紹介しています。
聞き直しに問いを加える研究と、その限界
Szpunarら(2013)は、大学生が動画講義を見る実験で、途中に記憶テストを入れると、講義と無関係な考え事が減り、学習成績が改善したと報告しました。一方、Welhafら(2022)の実験では、途中のテストで無関係な考え事は減ったものの、効果は小さく、学習成績への効果を支持する統計的な証拠は得られませんでした。
どちらも、この記事の「録音を後からMemlyへ取り込む手順」そのものを検証した研究ではありません。問いを入れれば必ず成績が上がるとは言えません。ここでは、説明できなかった内容を見つけ、原音や教材に戻るための方法として使います。
まずは、説明し直したい一つのテーマから
今日の授業から「聞けば分かるけれど、自分では説明できない」テーマを一つ選びます。許可された音声を取り込み、用語と条件を確かめ、数枚の問いにして答えてみてください。Memlyでは、教材の取り込み、カードの確認・編集、一問一答での復習を続けて行えます。
音声を使った復習全体の考え方は音声学習の効果と使い方で、AIで教材をカードにする仕組みはAIによる暗記支援の解説で紹介しています。
Memlyの無料プランで、自分の教材を一つ試せます。登録にクレジットカードは不要です。AIは初回の利用枠があり、毎月の補充はありません。
